イタチ七不思議 その1


ダチョウ倶楽部の古いネタに「UFOキャッチャー」てのがありましてね、上島が客でリーダーが店長のゲーセンにやってきてですね、そんで「UFOキャッチャーしませんか?」つってですね、で、UFOキャッチャーのアーム役がジモンでですね、そんで景品を取ろうとしてもなかなか取れないっつーですね、こう文字で説明してもなかなかその面白さが伝わらない、つーかそもそもそのネタ自体面白いかどうかは別にしてですね、まあ大昔そういうネタがあったわけです。
前フリがえらく長いんですけども、イタチのケージの中にですね、飼い始めた当初から一応ハンモックを吊してはいたわけです。まだ小さくて登れもしないんですけどね。そのへんはほら、なんつーかイキフンで。「フェレット飼ってまっせ」的な、ええ。で、まあ前フリはここにつながるんですけど、ケージの天井開いてですね、そんでおもむろにイタチを持ち上げてですね、鼻歌歌いながら腕をゆっくり左右に動かしてハンモックの上にぼふっと落とすという「独りUFOキャッチャー」をですね、よくやってたんですよ。ダチョウのネタコピりながら。そんでイタチはハンモックに登ることはおろか降りることもできないわけですんでね、また持ち上げてはあっちこっちに動かして、最終的にまたハンモックの上にぼふっと落とすという、これを小一時間ずーっとやってたりしてたんですね。で、その僕の飽きもせずにやってるサマを見るに見かねたんですかね、結局奥さんの「それ虐待」の一言で強制終了と相成ったわけなんです。
そしたらある日ですね、仕事から帰ってきていつものようにケージを見遣るとですね、いつもなら床に寝そべってるはずのイタチがですね、なんとハンモックの上に乗っかってこっち見てやがんの。僕びっくりして、思わず「なんでおまえ上のっかってんの?」ってイタチを問い詰めちゃったりして。あんまりびっくりしたんで僕より帰宅が遅かった奥さんに「イタチ ハンモック ノ ウエ スグ カエレ」ってメール打っちゃったりして。そんで落ち着いてからよーく調べてみたんだけど、イタチの体長から考えて、たとえ立ち上がったとしてもハンモックの縁に前脚届くはずないんですよね。前脚さえかかればなんとかなるのかもしれないけど、絶対届かないわけ。もちろん跳び上がることなんてできないし。つまり、もうこれは「謎」と言ってもいいわけです。で、奥さんが帰ってきてからそのことを報告して、しばらく「イタチはどうやってハンモックに登ったのか」について話し合ったんだけど、当たり前ですがやっぱり結論出ないわけ。そんで最終的には「CIAが」とか「超古代文明が」とか「Y.H.V.H.が」とかもうなんだかよくわからないことになっちゃった。それにしてもあれはいったいなんだったんだろう。どうやって登ったんだろうなあ。今でもよくわからない。
あとあれだ。自分でもびっくりしたんですけど、イタチの「はじめて自分でハンモックに登る瞬間」を見逃すって、かなり精神的ダメージでかい。イタチごときでこんなだから、「我が子が初めて立った瞬間」なんか見逃した日には、1週間くらい寝込んじゃうんじゃないかしらん。