イタチ包囲網

翌朝目を覚ましてリビングの扉を開けるといずこからか視線を感じた。僕はなにを隠そう(精神的)格闘家であり、(精神的)グラップラーである。常日頃からおのれの周囲を取り巻く空気を鋭敏に感じ取っている(と思い込んでいる)のだ。…間違いない、ケージだ。僕は円の形を描きながら、ケージへの間合いを徐々に詰めていった。もちろん猫足で。ケージにかけてある毛布に手が届く位置まで歩を進め、僕は一気に毛布をはぎ取った。





き、貴様か…!つか、おまえいつから起きてんの?
僕はトイレの掃除をし、エサと水を取り替えた。イタチはもうすっかりケージの中に馴れたみたいだ。しばらくおもちゃで遊び回ったあと、





また寝た。おまえなんぼほど寝るんや…?


まだ2日目なのだけど、今日は部屋の中に出してみよう。奥さんとそう話した。「せっかくだから」。いったいなにが「せっかく」なのかはよくわからない。でもまあ、せっかくだから。
「イタチを出すのはリビングだけ」とのルールを決めておき、まずは部屋に出すうえで気をつけなければならないところをチェック。

  • 部屋のドアというドアは全部閉める
    • 当たり前だ。逃げ出したら危なすぎる。
  • 潜ったらまずいところ
    • テレビ台の下:この下は面積が広いうえに、電気コードがたくさんある。「フェレットってコード囓りますか?」との問いにB'z稲葉は「その仔によりますねえ」と答えたけれど、ウチのが「その仔による」イタチだったらダメじゃん。
    • ソファーの下:別にまずいことないような気もするが、とりあえず目が届かない。
    • パソコンラックの下:コード盛りだくさんにも程がある。最強に危ない。

こんなもんか。とりあえずイタチが寝てるうちになんとか防御しとかなきゃ。…ってどうやって?柵なんて買ってないし、いったいなにで防御すりゃいいんだろ?と、思い悩んだ挙げ句、





やったね!ついでに





これまたやったね!なんつーか、段ボール便利!ただ、見た目がとんでもなくだっせえけど。
まあとにかくこれで気になる部分2カ所はなんとか解決。あともうひとつ、パソコンラックの下については、もうきっぱりあきらめることにした。最強に危ないけど。そもそもエレクターを使っているので目張りがしにくい。それにその他と違って奥まで手が届くので、こまめに監視しといて潜り込んだときはすぐさまひきずり出しゃいい。とにもかくにもこれで準備は整った。