Stinky Vice


 イタチを飼ううえで当初危惧していたのは、実はその「臭い」である。大阪でイタチの実物に初めて触れた際、とにかく気になったのはその臭いだったのだ。まず「てめぇは臭せーっ!ゲロ以下の臭いがぷんぷんするぜェッ! こんな悪(ワル)には出会ったことがねえほどになァァッ!!! イタチは生まれついての悪だァァッ!」と思い、そして「えっ、マジで?これドッキリ?」。次に「いやいやムリムリムリムリマジでマジでカンベンしてくださいよタモさ〜ん。リアルで」。最後に「じゃあ誰が飼う?」「(手を挙げて)じゃあ俺」「(手を挙げて)いや、僕が」「(渋々)そんなら私が」「(全員で)どーぞどーぞ」となり、ショージキこの臭いじゃ飼うの無理・・・きゃも・・・!と思っていた。で、1週間が経ち臭いはどんなもんかと言うと、やっぱ臭い。最初に嗅いだ臭いほどではないが、「イタチ臭」はどう見積もってもそれなりに臭い。仕事から帰ってくると部屋中にイタチ臭が漂っている。ただ、馴れもあるのだろう、不思議なことにそんなに不快には思わない。つーか、このごろでは結構いい臭いにさえ思えてきた。今ではあえて「ムスク」と呼びたいくらいだ。ただ、ウチに来る客はおしなべてもれなく「この家臭せえ」と思うのだろうなあ。彼らの記憶には「ドル美の家は臭い」という一文が刺青のように刷り込まれるのだろうなあ。それはそれで不本意だし納得いかない話ではあることだなあ。だからあえて言っておく。ウチは始終空気清浄機をつけているので、少なくともデパート1F化粧品売り場よりは臭くないはずですよ。